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9月3日 教育講演会「世界一の学力の国フィンランドに学ぶ」受講報告書

2010年10月07日 23:55

平成22年9月9日

教育講演会「世界一の学力の国フィンランドに学ぶ」受講報告書

篠原裕次郎

開催日:平成22年9月3日18:30~20:30
開催場所:サンスクエア東広島 3階 アザレアホール
主催:学力世界一の国フィンランドに学ぶ会(後援:広島県教育委員会)
講師:エルヤ ホヴェーン氏(ヘルシンキ市レッス総合学校長)
通訳:梅原ソルヤ裕美氏

趣旨:「米百俵」。01年に首相に就任した小泉氏が所信表明演説で引用して有名になった。これを文字通り実行したのが北欧のフィンランドだ。ソ連崩壊の余波で大不況に見舞われ国の歳出は大幅カット。そのなかで教育費だけ増やす大勝負に出た。それは大きな果実をもたらした。子どもたちの学力は急伸。国際比較ではいつも世界のトップだ。ノキアなど知識集約型の産業が発展し「森と湖の国」はハイテク国家に変容した。

  この度、フィンランドの総合学校長を広島に招聘して、講演を9月1~4日まで広島、三次、東広島、福山で行うことで、子どもたちのやる気を引き出し、自らが何かに喜んで挑戦していくことを育むフィンランドの教育を学ぶ。


●講演内容

フィンランドの学校の仕組み

・6歳:幼児教育。グループで遊ぶ。

 7歳~15歳:基礎教育(小中学校)。ホヴェーンさんの学校。

 16歳~18歳:一般高等教育。または職業訓練校。

 19歳~23歳:大学。または19歳~22歳:科学技術専門大学(23歳:就業経験)。

 一般高等教育から職業訓練校へ進学もできる(逆も可)し、職業訓練校から大学にも専門大学にも自由に行ける。受験もない。全ての段階で全てを選択でき、いくらでもやり直せるので進路の失敗というものが存在しない。

・平等が一番大事。男女平等(全て共学)。経済的平等(授業料なし)。地域的平等(居住地域の学校に入る)。これらの平等により、ひとつの学校にあらゆる階層の人がいる。

・教材も給食も保健もソーシャルワーカーも全て無料。国民全員の税金。

・フィンランドには塾もない。学校がそれぞれの子供に合ったやりかたを考える。

・フィンランドは人口521万人ととても少ない。人の才能が宝。



レッス小中学校について

・1891年創立。昔は男子校だった。1970年代の改革により、全ての学校が共学になった。

・首都にあるので、親が駐在員、外交官、国際結婚など外国人の生徒が多い。永住する移民に対してはフィンランド語で授業を行う。短期(~3年)の場合は英語で教える。それぞれのカリキュラムは全て教師が作る。

・生徒数450人。19クラス(1クラス最大25人)。常勤職員39人。生徒のカウンセラー1人。生徒の学習アドバイザー2人。クラスアシスタント3人。保健師(週4日)。ソーシャルワーカー(週3日)。心理学者(週2日)。



小中学校の目標

・幅広い一般教養。小中学校ではまだ専門化する必要はない。

・すべての子どもが自信を持つことが大事。沈む子もスポットのあたる子もいない。

・子供には積極性が必要。活動的であること。リスクを負うことができる。誰でも失敗はある。それよりも自分のやっている勉強に価値を見出す。

・生徒の目指すべき目標(質問ができる。考えることができる。コミュニケーションがとれる。積極的。好奇心がある。主義主張をもつ。思いやりがある。寛容である。偏りがない。反省できる。)



教科

・国語は一番大事。全ての学年で教える。外国語も一人二つ以上を全ての学年で教える。

・フィンランドではその学校に同じ国の外国人が4人以上いたら、母国語を週2時間教えなければいけないことになっている。そのため、レッス小中学校では合わせて38か国語も教えている。

・数学、環境科学、生物、化学、地理、物理、保健、宗教・倫理、歴史、公民、体育、音楽、視覚芸術、手芸、工芸、家政学

・手芸、工芸を大事にしている。教材は無料。手と目の共同作業。この機械はどうやって動いているのかということも教える。~4年生までには理科・物理という教科はなく、その代り、例えば工芸でラジオを作れば一緒に物理も教える。手芸で衣服を作れば、平面から立体への製図も勉強する。ただ作り方を習うのではなくいろいろな学問を同時に勉強している。総合教育。



学校生活

・机は数人で囲むようにして座り、勉強をグループでする。教室の後ろにはリラックスして読書ができるコーナーを設けている。

・授業時間は午前8時~午後3~4時。授業数は週21(1~2年)から32(7~9年)まで。一年190日。



勉強の重点

・探求心、知識の習得とその過程、コミュニケーション、問題解決能力、間違えてもいいことを学ぶ、忍耐、創造力、グループ内での勉強方法。

・未来に何が起こるか誰にも予想できない。携帯電話も昔は想像できなかった。未来のことを予め勉強はできない。その時になってその新しい何かにすぐに対応(順応)できる能力が必要。リスクを負える。間違いを恐れない。間違っていてもその過程でいろいろなことを学ぶ。

・子どもを中心に。学校で仕事をしているのは子供。先生は助けるだけ。その子その子の能力を最大にのばせるよう応援する。

・常に最低2つ以上の答えを見つける。そこに至る過程はいくつもある。

・チームワークが大事。いろんな子どもたちがいて、いろんな解決方法があることを知る。



学校(教師)の評価

・基準に基づく評価。親・子・教師3者協議(1年に2回)。

・学校の解放。いつでも誰でも見に行ける。

・教育についてPTAへアンケート。

・PISA全国一斉テスト(OECD加盟国の多くで義務教育の終了段階にある15歳の生徒を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決を調査するもの。)。文部省がランダムに学校・学年・教科を選定して抜き打ちテスト。全国的な統計のみ測る。個人や学校のランクを知ることはできない。校長のみ自分の学校のランクが分かる。

・教師は他校の授業を見に行く。他校と競争するのではなく協力し合う。



子どもの評価

・過程の評価。常に子どもの勉強の途中を評価する。

・最初の4年間は点数をつけず、言葉による評価。中学生になると年4回ある評価のうち2回が点数評価となる。卒業時にようやく全体を点数評価。将来性を評価。



●質疑応答

①オッリペッカ・ヘイノネン(90年代、29歳で教育大臣を務め、現場への裁量権の委譲など大胆な教育改革を実施。)の功績はどのようなものだったのか?

→フィンランドはたくさんの政党があるため、全体のコンセンサスが必要で、急激な変化は起きない。教育改革としてよかったのは、「グループによる学習」と「科目の別をなくし総合教育」がとてもよかった。また、この国の歴史(スウェーデンやロシアに支配)から、平等ということにとても敏感。階級もないので学力が全て。学校は全ての人間に平等にチャンスを与える。

②ソーシャルワーカーがいなかったらどうなると思う?

→いなかったことがないので分からないが、社会的な問題を教師が考えている暇はない。

③教師になるにはマスターコースを習得しないといけないのか?

→必ず修士の資格が必要。幼稚園の先生もそう。

④ベテラン、中堅、新人の教師の能力のバランスをどうやってとっている?

→よくコミュニケーションをとっている。ベテランから新人へのアドバイスも多い。カリキュラムも教師のグループで作っており、教師同士で勉強できる。

⑤忙しい中、コミュニケーションの時間をどうやってとっている?

→授業は週21~32時間しかない。週に一度、来週のカリキュラムについて話し合う機会がある。たくさんコミュニケーションがとれている。

⑥塾がないということだが、宿題や土日の勉強は親が与えるのか?

→宿題はあるが少量で、学校がある時だけ。休みのときは出さない。宿題といっても「オーブンの掃除」とかで、その評価は親が行う。子どもは他にすることがたくさんある。筋肉と一緒で、頭も休ませる。

⑦20年前の改革以前はどうだった?

→昔は男子校、女子高もあった。10歳で勉強を続けるか就職するか決めなくてはいけなかった。グループ学習ではなかった。個人を評価し、できる子だけ先に進んだ。今は、先に進むのではなく深く潜らせる。国際性を保つにもグループ学習が必要。今後はもっと総合的な学習を目指している。



●感想

・フィンランドの高い学力が僅か20年前の教育改革から始まったのを初めて知った。今でこそ成果が現れたが、当時、成果が上がるかどうか分からないのに、この大きな改革をよく国民が受け入れたと思う。その英断がこの学力世界一の一番の要因だろう。

・エルヤ ホヴェーン先生が何度も仰っていた「グループ学習」がとても大事だと思った。日本でも取り入れたいし、家庭でも取り入れたい。

・この講演会を広島県の教育委員会が後援し、300名収容のアザレアホールが定員オーバーになり、熱心な質問が続いているのを見ると、広島の教育の将来にも希望が持てました。



篠原裕次郎


*この講演会は4日間に分かり開催されました。9月1日の講演会に参加したメンバーの記録はこちらでご覧頂けます。

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